DOCTOR COLUMN
【医師コラム】成人になってからのアトピー性皮膚炎との付き合い方
アトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能が低下してかゆみや湿疹を生じる慢性の皮膚疾患です。多くは幼少期に発症し、年を取るにつれて症状が改善する傾向にあります。ですが、一部では成人になっても症状が継続する方がいらっしゃいます。 一般的には、アトピー性皮膚炎を引き起こす要因はアトピー性素因や皮膚のバリア機能が低下して起こる免疫反応の異常などがあります。成人では、それらに加えて精神的ストレスが影響することが多いです。そのため、成人期の治療法としてはアレルギーの原因となるアレルゲン除去やストレス軽減などが挙げられますが、現実では容易ではありません。今回は、成人になってからのアトピー性皮膚炎との付き合い方をお話します。 【成人期でもアトピー性皮膚炎が改善しない要因】 成人してもアトピー性皮膚炎の症状が残る要因として、食生活の欧米化やステロイド外用薬の不適切な使用が挙げられます。また、精神的ストレスも症状に大きく影響を与えます。 治療法としては、アレルゲン除去といった免疫機能を整えることはもちろん、食生活の改善、ストレスの軽減となりますが、仕事や子育てで忙しい日々を送っていると実際に改善することは非常に困難です。そのため、成人期までアトピー性皮膚炎の症状がある方は治療が難しいのです。 【妊娠中のアトピー性皮膚炎の悪化】 また、妊娠中はアトピー性皮膚炎の症状が悪化する傾向にあると言われています。その原因は、女性ホルモンの増加やアレルギーに関する細胞の増加が挙げられます。その他、胎児への影響を心配して妊娠前に使用していた薬を中止してしまうことも原因の一つです。 ただでさえ妊娠中はお肌トラブルが生じやすいので、自身での基本的なスキンケアが大切です。薬に関しては、妊娠中も使える薬がありますので、皮膚科や産科を受診しお薬の調整をしてもらいましょう。 【まとめ】 妊娠中以外にも、授乳中や産後、更年期も女性ホルモンの分泌が激しく増減する時期です。女性特有のものですが、適切な治療をすることで症状の悪化を予防し成人期も快適にすごしましょう。また、女性だけでなく男性も男性ホルモンの増減はあります。仕事など日常生活のストレスも男性の方が多いのかもしれません。ストレスがつきものの現代ですが、上手にストレス発散をすることを心がけましょう。 この記事を書いた医師 木村奈緒 医師 経歴: 久留米大学医学部卒業。現在は美容皮膚科クリニックにて勤務しており患者様の理想の姿に近づくサポートをしている。
【医師コラム】敏感肌さんのスキンケア製品の選び方、チェックすべき成分
敏感肌の方は、皮膚のバリア機能が低下して刺激に対して皮膚が過敏に反応してしまう状態を指します。赤みやかゆみといった日々のお肌トラブルへの対応やスキンケアも大変だと思いますが、お肌に合うスキンケア製品を探すことも悩みの種だと思います。今回は、敏感肌さんのスキンケア製品の選び方、チェックすべき成分について簡単にお話します。 無添加しか使えない? 無添加化粧品と聞くと、どのようなイメージを持ちますか?多くの方は「お肌への刺激の少ない優しい化粧品」とイメージされると思います。実際は、「無添加」といってもなにも入っていないという意味ではなく、実ははっきりした定義はありません。一般的には、石油系合成界面活性剤や防腐剤が入っていない製品を意味することが多いです。 ですが、防腐剤は化粧品の腐敗を防いでくれる成分であり、医薬品や食品にも広く配合されている成分です。防腐剤が配合されていない化粧品は早期に腐敗しやすく、腐敗した化粧品は刺激になって赤みなどのお肌トラブルの原因となります。そのため、防腐剤が入っていた方が皮膚に優しい場合があり、無添加が一概に良いとは限りません。もしかすると、お肌の悩みの原因が無添加化粧品といった可能性もあるかもしれませんね。 この成分は危険・この成分がポイント ① 防腐剤 ・パラベン、フェノキシエタノール:長年使用されている防腐剤であり、身体への安全性も確認されています。化粧品の腐敗に関して心配が少なく、皮膚への刺激も少ないです。 ・精油(ハッカ油/ヒノキ油など):皮膚への刺激がやや強い防腐剤で、肌荒れの原因となる可能性があります。敏感肌の方は避けましょう。 ② 洗顔 ・セラミド/グリセリン:敏感肌の方はお肌が乾燥していることが多いです。保湿成分であるセラミドやグリセリンなどが含まれている洗顔料を選びましょう。洗顔の際には擦ったりせず、きめ細かい泡で優しく汚れを落としましょう。 ・固形石鹸:固形石鹸は、洗浄力が非常に強くお肌に必要な最低限の皮脂も洗い流して乾燥を悪化させてしまいます。敏感肌の方は乾燥が大敵なので、保湿力が低い石鹸は避けましょう。 自分に合ったスキンケア商品を見つけることが一番大切 敏感肌と一口で言っても、その原因は人それぞれです。多くの場合、乾燥は共通していますが、乾燥の原因が摩擦であったり、防腐剤をはじめとする一定のスキンケア成分であったり、紫外線であったり。まずは、ご自身の敏感肌の一番の原因は何かをよく考えてみましょう。そして、もし一定の成分でお肌が荒れると感じる場合には、時間がかかると思いますがそれが何なのかを検討してみましょう。上記に挙げた成分は、スキンケア成分の中でごく一部のものですが参考にしてみてくださいね。 この記事を書いた医師 木村奈緒 医師 経歴: 久留米大学医学部卒業。現在は美容皮膚科クリニックにて勤務しており患者様の理想の姿に近づくサポートをしている。
【医師コラム】敏感肌さんのための正しいスキンケア方法
敏感肌は、皮膚のバリア機能が低下していろいろな刺激にお肌が過敏に反応してしまう状態を言います。1年中かゆみや赤みなどの肌荒れに悩んでいる方も多いと思います。敏感肌の原因の一つに、不適切なスキンケアが挙げられます。ご自身でお肌にダメージを与えている方が意外と多いのです。今回は、スキンケア製品の選び方や正しいスキンケア方法を簡単にお話します。 クレンジング スキンケアの最初はクレンジングです。日焼け止めやメイクをしっかり優しく落としましょう。化粧品の成分がお肌に残ったままですと、肌荒れの原因となります。一方で、しっかり汚れを落とそうとゴシゴシお肌を擦ってしまうと、その摩擦もお肌に負担となってしまいます。クレンジングはお肌への負担が軽いオイルタイプやクリームタイプなどを選びましょう。シートタイプは拭き取る際に摩擦が生じ、お肌を傷つける可能性があるので避けましょう。 洗顔 次に洗顔です。翌日に持ち越さないように、一日の汚れや皮脂をしっかり洗い流しましょう。洗顔料の選び方は、ピーリングやスクラブ成分が含まれた洗顔料はお肌に刺激になるので避けましょう。かゆみや赤みの原因となる場合があります。泡タイプの洗顔料などを使って、きめ細かい泡でお肌を擦らないように洗いましょう。 自分は大丈夫と思っても、意外と無意識にゴシゴシ擦って洗顔をする方が多いです。ただでさえ日常的なマスク装着で、お肌は例年以上に摩擦を受けてダメージが蓄積しています。洗顔の時は、手がお顔の皮膚に触れないように、たっぷりの泡でくるくると優しく洗うことを心がけましょう。 化粧水・乳液・美容液・クリーム 洗顔でキレイなお肌になった後は、お肌に栄養を与えてあげましょう。まずは、化粧水でたっぷり潤いを与えましょう。手のひらに取り、手の体温でお肌を温めるように優しくお顔を包みます。1回ではお肌が吸収できる化粧水の量は少ないので、2,3回に分けて少しずつ浸透させましょう。次に、乳液でお肌からうるおいが逃げてしまわないように蓋をしましょう。クリームは冬場など、特に乾燥の気になるときにプラスするといいですね。 また、美容液も効果的です。最近は、ビタミンCやトラネキサム酸などの美容成分が入った美容液も多く見かけます。ご自身のほしい効果に合ったものを使いましょう。 まとめ 敏感肌の方がお肌のコンディションを保つためには、スキンケアが非常に重要です。また、ご自身のお肌に合ったスキンケア製品を使うことも大切です。日々のスキンケアの積み重ねで少しずつお肌が整ってくるので、ぜひ参考にしてみてください。 この記事を書いた医師 木村奈緒 医師 経歴: 久留米大学医学部卒業。現在は美容皮膚科クリニックにて勤務しており患者様の理想の姿に近づくサポートをしている。