【医師コラム】成人になってからのアトピー性皮膚炎との付き合い方

2022.12.25

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎は、皮膚のバリア機能が低下してかゆみや湿疹を生じる慢性の皮膚疾患です。多くは幼少期に発症し、年を取るにつれて症状が改善する傾向にあります。ですが、一部では成人になっても症状が継続する方がいらっしゃいます。


一般的には、アトピー性皮膚炎を引き起こす要因はアトピー性素因や皮膚のバリア機能が低下して起こる免疫反応の異常などがあります。成人では、それらに加えて精神的ストレスが影響することが多いです。そのため、成人期の治療法としてはアレルギーの原因となるアレルゲン除去やストレス軽減などが挙げられますが、現実では容易ではありません。今回は、成人になってからのアトピー性皮膚炎との付き合い方をお話します。


【成人期でもアトピー性皮膚炎が改善しない要因】

成人してもアトピー性皮膚炎の症状が残る要因として、食生活の欧米化やステロイド外用薬の不適切な使用が挙げられます。また、精神的ストレスも症状に大きく影響を与えます。

ストレスが要因の場合もある

 

治療法としては、アレルゲン除去といった免疫機能を整えることはもちろん、食生活の改善、ストレスの軽減となりますが、仕事や子育てで忙しい日々を送っていると実際に改善することは非常に困難です。そのため、成人期までアトピー性皮膚炎の症状がある方は治療が難しいのです。


【妊娠中のアトピー性皮膚炎の悪化】

妊娠中にアトピー性皮膚炎が発症することもある

また、妊娠中はアトピー性皮膚炎の症状が悪化する傾向にあると言われています。その原因は、女性ホルモンの増加やアレルギーに関する細胞の増加が挙げられます。その他、胎児への影響を心配して妊娠前に使用していた薬を中止してしまうことも原因の一つです。


ただでさえ妊娠中はお肌トラブルが生じやすいので、自身での基本的なスキンケアが大切です。薬に関しては、妊娠中も使える薬がありますので、皮膚科や産科を受診しお薬の調整をしてもらいましょう。


【まとめ】

妊娠中以外にも、授乳中や産後、更年期も女性ホルモンの分泌が激しく増減する時期です。女性特有のものですが、適切な治療をすることで症状の悪化を予防し成人期も快適にすごしましょう。また、女性だけでなく男性も男性ホルモンの増減はあります。仕事など日常生活のストレスも男性の方が多いのかもしれません。ストレスがつきものの現代ですが、上手にストレス発散をすることを心がけましょう。

 

この記事を書いた医師

木村奈緒医師

木村奈緒 医師

経歴: 久留米大学医学部卒業。現在は美容皮膚科クリニックにて勤務しており患者様の理想の姿に近づくサポートをしている。

 
一覧に戻る