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【医師コラム】アトピー性皮膚炎とステロイドの付き合い方

2022.11.02

アトピー性皮膚炎は皮膚のバリア機能が低下して、いろんな刺激に対して皮膚が炎症や湿疹を生じる疾患です。また、乾燥もアトピー性皮膚炎を悪化させる要因の一つです。 適切な治療によって症状がコントロールされると湿疹が改善し、肌荒れのない状態が期待できます。治療法は大きくステロイド外用薬と保湿の2つに分けられます。ステロイド外用薬は、副作用を不安に思う方がいらっしゃいますが、アトピー性皮膚炎は炎症を早い段階で確実に抑えることが重要です。そのため、かゆみなど症状が悪化する前にステロイド外用薬で治療をすることが大切です。また、保湿は化粧水をこまめにたっぷり塗ったり、口から水分を十分に摂取することが重要です。 【ステロイド外用薬】 ステロイド外用薬は炎症を引き起こす細胞の働きを抑える作用や、皮膚の細胞の活性を抑えてかゆみや湿疹といった皮膚症状を改善する効果があり、アトピー性皮膚炎治療には欠かせない薬です。その効果の強さから、weak、medium、strong、very strong、strongestの5つのランクに分けられます。皮膚科を受診すると、症状に合ったランクのステロイド外用薬を処方してもらえます。 ですが、「ステロイドは副作用が多い薬」と思い、使用を躊躇される方がいらっしゃいます。確かに、ステロイドの注射や飲み薬では全身に効くので、全身に副作用が出る可能性があります。一方で、外用薬は塗り薬なので、その効果は塗った部分に限られます。そのため使用量も少なく済みその副作用は限定的です。 【副作用の種類】 ステロイド外用薬は副作用の少ない塗り薬とはいえ、そのリスクはゼロではありません。以下のような症状が挙げられます。このような副作用が生じても、数か月かかりますが、使用を止めると徐々に元のお肌に戻ることが多いです。 ・発赤 ・多毛 ・毛細血管拡張 ・ニキビ 【まとめ】 皮膚からのステロイド吸収は、使った分のたった3%です。その分、副作用もとても限られます。ステロイド外用薬は正しい知識で正しく使えば、アトピー性皮膚炎にとても効き目のある治療法です。保湿剤を併用して、効果的に症状改善を図りましょう。 この記事を書いた医師 木村奈緒 医師 経歴: 久留米大学医学部卒業。現在は美容皮膚科クリニックにて勤務しており患者様の理想の姿に近づくサポートをしている。